図書館司書として10年近く働いて、毎日毎日うんざりするほど本と接しているはずが、年々益々本好きに拍車がかかります。
図書館は、本好きにとっては天国のような職場です。
毎朝出勤するたびに、「今日はどんな面白そうな本が見つかるだろう?」と楽しみです。
まず起き抜けには、牛乳をたっぷり入れた熱々の紅茶を一杯。ぼーっとしていた頭が、紅茶のカフェインで少しずつハッキリしてくる感覚がとても好きです。
仕事の日は、紅茶を飲みながら、メイクや身支度をします。余裕があれば、出勤前に少しだけでも本を読んで静かな時間を過ごすと、その日一日ずっと、ゆったりとした気分で過ごすことができます。
家を出て5分くらい歩くとバス停です。田舎なのでバスはまだガラガラで、席は選び放題です。朝のバスの中では、投資のニュース、モーニングサテライトをスマホのオンデマンドで見るか、IBDのビッグピクチャーのコラムを読んで過ごすと決めています。
30分くらい前に職場の近くにあるカフェに行って、そこでぼーっとしたり、手帳を見てやることを整理したり、本を読んだりする時間が、至福の時間です。
特に、冬のまだ薄暗く寒い朝には、オレンジ色のライトが灯るカフェの店内がまるで天国のように見えて、吸い寄せられるように入ってしまいます。冷たい手をカップで温めながら、店員さんがキビキビと働く様子を見ている時間が、たまらなく贅沢で好きです。このまま出勤せずにずっとここに居たい、と思ってしまいます。その「限りがある」感じがまた、朝のカフェ時間を貴重なものにしています。不思議なことに、同じカフェなのに、夏の朝には全く魅力を感じません。
ギリギリまでカフェで粘って、出勤します。
朝から、本、本、本のオンパレード。本を返却し、棚に戻し、また別の本を棚から探し、コンテナに詰め、とにかく何をするにも本に接しています。1日1000冊くらいは見ているような気がします。その間ずっと、「これは自分が読みたい本か?」というセンサーを働かせて、少しでも気になる本があれば、すかさずパラパラっとめくり、面白そうなら自分用に確保。英語の教材で「シャワーのように英語を浴びる」という宣伝文句がありますが、私もまさにシャワーのように本を浴びています。
なので、1日が終わる頃には、両手に抱えきれないほど、読みたい本が見つかってしまうこともあります。とても全部は一度に読めないので、リストにして後日読みたい本としてメモするのですが、このリストが一度たりとも全部消化できたことはなく、どんどん長いリストになっていきます。いつも読みたい本がありすぎて、出勤するたびにさらにまた見つかって、いつも読書が追いつかない。その感覚が本当に幸せで、司書は本当に天職だと思います。
お昼休みは、読みかけの本一冊持って、天気が良ければ外の公園かお店でササッと済ませて、残りの時間で本を読みます。
図書館に残ってお昼を食べている人たちも、みんな本好きが多く、お昼ご飯を食べながら集中して本を読んでいる人が多いです。図書館の同僚のそんな雰囲気も好きです。
午後も、事務室とカウンターを交互に1時間ずつ場所を変え、ひたすら本と向き合います。時々、コンを詰めすぎて、近くばかり見てしまって目が疲れてしまうことがあります。そんな時は、奥まったところにある静かな文芸コーナーの棚の辺りをうろついて、少しホッと一息入れます。
定時になったらサッサと帰ります。朝、読み終わった本を返して軽くなったはずのバッグが、また帰りには本でずっしり重たくなっていて、その重みを肩に感じるのが結構幸せだったりします。なので、バッグはいつも異様にデカイです。
帰りのバスの中での読書は、言ってみれば1日頑張った自分へのご褒美で、勉強などせず、好きな本を読むようにしています。一番後ろの端っこの席が空いていれば最高です。ここだと、途中で降りる人に遠慮せずに、本に集中できます。
それでも、やっぱり1日働いて疲れているのか、どんなに気持ちは読みたくても、途中でどうしても睡魔が襲ってきてしまいます。眠い、でも読みたい、でも眠い、、、白目をむきながら必死に目を開けようと頑張っても、最後はだいたい寝てます。気がつくと寝落ちしていて、たぶん10分くらいしか寝ていないと思うのですが、すっごい熟睡していて、これで結構疲れが取れて、帰宅してからの元気が復活します。
家に帰ってからは、しばらく本とは離れて、普通に夕飯を食べたり、犬の散歩をしたり、テレビを見たりします。
20時くらいになったらお風呂の時間です。これが私の1日のハイライトです。
1日の中で、一番楽しみにしている時間かもしれないです。
それは、お風呂の中での読書。結構熱めのお湯を張って、その中に、タオルと水と本を持ち込んで、至福の読書タイムです。この時の本はもちろん、図書館で借りた本ではなく、お風呂用に買った安い中古の本などです。
10分くらいすると、汗が滝のように流れ出てきて、心臓もバクバクしてきて、全身の血流が早く流れているのがわかります。それでもそのまま続けていると、そのうち顔が真っ赤になってきて、頭がのぼせてぼーっとしてきて、もう読書ができる状態ではなくなります。ここまできたら、もうおしまい。全身を洗ってお風呂を出ます。
これは、夏が終わり少し涼しくなった9月の下旬から、暑くてお風呂に入れなくなる6月の下旬頃まで、ほぼ毎日の日課です。夏の間は少しつまらなくて、早く冬になれと思ってます。
お風呂から出たら、また少しテレビを見て、寝ます。
時々、夫は寝ているのに、自分だけ眠れないという時があります。こういう時に活躍するのも本です。
電気をつけるのは憚られるので、登山用に買ったヘッドライトを頭につけて、読書をします。読書用の小さなブックライトも試したことがありますが、光が本に直接当たりすぎて、イマイチでした。テーブルランプだと光が拡散しすぎて、周りに迷惑です。ヘッドライトは、光量や角度も調整できて、自分の頭の向きがそのままライトの向きになるので、自由自在で両手も空いて自由に使えるので、完璧なブックライトとして代用できます。
夜中に、真っ暗い部屋の中で、頭にヘッドランプをつけて読書をしている自分の姿を客観的に想像すると少し変ですが、そうして読書オタクの図書館司書の1日は終わります。